新座市では3月に入ると一斉に芽吹き始めます。冬の間木々は葉を落とし、枯れ枝同然の姿から、日ごとにやわらかい緑が覆い始めるのは、生命の息吹を感じさせてくれますね。
みなさんはカタクリの花を見たことがありますか?カタクリも寒さに耐えるため、冬は地上から消滅し、根のみで冬を越します。寒さの残る3月ごろ芽吹きだし、早春の桜の時期に開花がはじまります。
近年は土地開発や地形・日照等のさまざまな条件により姿を消しているため、多くの都道府県では絶滅危惧種に指定されているようです。
そんな希少なカタクリが、こちら新座市野寺に群生していると聞いて、さっそくやってきました!なぜ、この地で群生できたのか、その秘密に迫ってみましょう。
新座市野寺の住宅地を抜けると約6万株のカタクリ群生地
住宅地を歩きながら細い路地を抜けていくと、ありました!「野寺カタクリ山」。手作りの看板が魅力的です。昨年はコロナの影響で開催できなかったようですが、カタクリの花が咲く時期に合わせて、毎年3月中旬から4月中旬にかけて期間限定で開放しているようです。
「野寺カタクリ山」というだけあり、斜面には自然と調和した階段と手すりが整備されています。木の隙間からは住宅街や遠くの雑木林を見下ろすことができますよ。約1700平方メートルの土地に推計6万株のカタクリが群生しています。
ひっそりと咲くカタクリの花に出会うことができました。うつむいているように咲いているので、より可憐でかわいらしさが引き立ちますね!少し来るのが早かったようで、咲いているのはちらほらでしたが、あと一週間ぐらいで、カタクリが満開になり、薄紫の絨毯ができるようです。
カタクリが新座市野寺で群生できた3つの条件
一般的に、カタクリは温暖地では育てるのが難しいとされています。出回ることもほとんどなく、普段のお散歩では見かけることはありません。私も以前に、カタクリを購入して小さな庭で育ててみようと思いましたが、翌年からは消滅してしまいました。
こちら新座市野寺で、カタクリが群生できた主な条件は以下の3つのようです。
1.北斜面であること
カタクリは湿り気のある北向きの斜面林に多く見られます。なぜ北斜面なのかは、調べてみましたが明確な答えがありませんでした。
2.落葉樹林であること
カタクリは寒冷地の植物のため夏は涼しい環境を好みますが、開花や成長のためには春の日差しが必要になります。冬の間落葉をしていた木々が葉を茂らせる前の一瞬に、太陽の光を独り占めで浴びながら成長していきます。
3.土地所有者の努力があったこと
約60年前に、土地の所有者が20株ほどのカタクリを移植したのが始まりです。幸いカタクリの生育に適した条件がそろっていたのもあり、約6万株のカタクリの群生へとつながりました。平成16年に新座市の所有地となり、新座市と緑の保全巡視員が管理しています。
※「新座市みどりと公園課」の看板より一部抜粋
カタクリの不思議な生態-種から開花まで6年~7年
保全巡視員の方にお伺いすると、カタクリは種を飛ばして繁殖していくのだそうです。種から花が咲くまでは、約6年~7年。気が遠くなるような年月を経てようやく開花に至るのですね。しかも、開花の翌年は休んで栄養を蓄えるため花が咲かないのだそうです。
よく見ると、カタクリの芽が出てから、1年目、2年目、3年目、4年目…と、札が立てられていました。1年目、2年目は葉が1.2枚ほどで、とても小さく弱々しい印象です。「毎年無事に芽を出して、少しずつでも成長してほしい」と願います。
カタクリの他にも珍しい山野草に出会うことができます
カタクリの花以外にも、珍しい山野草に出会うことができます。写真の「ムサシアブミ」はとてもユニークな芽をしてますね。どんな花が咲くのでしょう。
その他にも「ウラシマソウ」や「一人静(ヒトリシズカ)」「二輪草(ニリンソウ)」などが芽を出していました。
春の訪れを告げるカタクリの花や、さまざまな山野草と出会うことができ、心も体も充実した時間を過ごすことができました。
みなさんも早春のお散歩コースに、「カタクリ山」はいかがでしょう。
ぜひ足を運んでみてください!
カタクリ山(野寺三丁目保全緑地)
住所:埼玉県新座市野寺3丁目13番地内
TEL:048-477-2987(新座市役所みどりと公園課)開催日:2023年3月13日(月)~4月7日(金)
営業時間:9:00~17:00アクセス:
・西武バス「志木駅南口」から「ひばりヶ丘駅」行き、「栗原」バス停下車、徒歩5分
・西武バス「朝霞台駅南口」から「ひばりが丘駅北口」行き、「栗原」バス停下車、徒歩5分