古来の夏の贈り物・和光市の「夏越しの大祓い・茅の輪くぐり」

みなさんは、毎年6月下旬に、神社で大きな輪っかが設置されているところを見かけたことがありませんか?

その輪は茅の輪(ちのわ)と言い、参拝者はこの茅の輪をくぐることで、身を清めることができるのだそうです。

この「夏越しの大祓い・茅の輪くぐり」(なごのおおばらい・ちのわくぐり)という行事は、6月25日~7月9日のあいだ、埼玉県和光市にある「武州白子熊野神社」でも体験することができます。

私も、夏の日差しが降りそそぐ中、今年の「夏越しの大祓い・茅の輪くぐり」を体験しに行ってきました。

「夏越しの大祓い・茅の輪くぐり」とは?

「茅の輪」とは、茅(ちがや)という草で編んだ輪のことです。

いにしえから、生活の中でさまざまな罪やけがれが生じると考えられてきました。

そこで、茅の輪や形代(かたしろ)などで罪やけがれを祓う大祓(おおはらえ)を行うようになったのだそうです。

ちなみに、6月末に行われるのが「夏越の大祓」で、12月末に行うものが「年越の祓」(としこしのはらえ)といわれています。

「武州白子熊野神社」でも、12月26日~1月7日に「年越しの大祓い・茅の輪くぐり」が予定されています。

つまり、それぞれが半年間の罪やけがれを祓い清めてくれる行事だったんですね。

まったく知らなかったので驚いてしまいました。

「夏越しの大祓い」は、お正月から半年間の罪やけがれを祓い清めるための大きな祓いであり、これからの暑い夏を健康で明るく、さまざまな災厄からも身を守るように、神様にお願いをする行事でもあるのです。

私も、厳かな空気ただよう神社に立ち、今年の夏の健康と半年間の罪やけがれをお祓いしていただこうと思います。

でも、そもそも、どうして「茅の輪くぐり」をすることが大祓いになったのでしょうか?

「茅の輪くぐり」の由来と意味は?

「茅の輪くぐり」は、日本神話に基づいていると言われています。

昔、一人の旅人があらわれ、ある兄弟に一夜の宿を願いました。

弟は裕福なのにもかかわらず旅人を冷たく断りましたが、兄の蘇民将来(そみんしょうらい)の方は、貧しくても手厚く旅人をもてなしました。

この旅人は、実は武塔神(むとうしん・スサノオノミコトと同一視)で、蘇民将来へ災厄を祓う茅の輪を授けたのだそうです。

さらに蘇民将来が、武塔神の教えに従い茅の輪を腰につけたところ、疫病からも逃れられ、子々孫々まで繁栄したということでした。

このお話しに基づいて、茅の輪くぐりをするようになったんですね!

神社仏閣で行われている行事には、もちろんそれぞれ意味があることはわかってはいましたが、こうやって紐解いてみると興味深いお話しが浮かび上がってきて、本当に面白いですね。

とても興味がわいてきました。

和光市民に愛される「武州白子熊野神社」

「夏越しの大祓い・茅の輪くぐり」が行われる、埼玉県和光市にある「武州白子熊野神社」は、白子の鎮守様として栄えてきました。

発祥は不明ですが、社伝によると、およそ一千年前からと言われているそうです。

御祭日は、元旦祭(1月1日)、節分祭(2月3日)、祈念祭(2月17日)、例大祭(10月3日)、新嘗祭(11月23日)、大祓(12月31日)。

イベント・行事は、4月29日のつつじ祭り、6月25日~7月9日の茅の輪くぐり、10月の第一日曜の神幸祭、12月7日の熊手市があります。

私は「熊手市」が大好きで、毎年参拝させていただいています。

心騒ぐ出店と、高く立ちのぼるお焚き上げの炎が師走の空気と相まって、とってもワクワクする行事の一つなんです。

また、こどもの日には、たくさんの鯉のぼりが泳いでいる風景を見ることができます。

いろんな御祭事と行事を経て、市民や参拝者と深いコミュニケーションを取っている「武州白子熊野神社」は、和光市民にとっても特別で、心から愛されている存在だと言えるでしょう。

(今回、ちょうど神社の横で工事があったため、各所で大型車両等が写り込んでしまっています。どうぞご了承ください)

茅の輪のくぐり方に作法があるのを知っていますか?

さて、実際に茅の輪くぐりをしてみましょう!

でも輪の前に立つと、ピタッと足が止まってしまいました。

この輪、どうやってくぐれば良いのでしょうか?

そのまま通り抜ければ良いわけではないだろう、と言うことは私にもわかりましたが、ちゃんとした作法がわかりません。

困ったなぁとキョロキョロしていると、左手にくぐりかたの作法が書かれた看板があるではないですか。

ありがたい!と思いながら、看板にしたがって参拝に挑戦しました。

また猛暑対策なのでしょう、茅の輪の上に冷たいミストが設置されているところにも感動してしまいました。

立っているだけで汗が噴き出してくるような夏の暑さです。

茅の輪ごしにサワサワと降ってくる冷たいミストは、癒し以外のなにものでもありませんでした。

とっても気持ちよかったなぁ。

ステキなお心遣いが、本当にうれしかったです。

「茅の輪くぐり」の作法は、それほど難しいものではありませんでしたが、きちんとやってこその意味があるのでしょう。

まずは、「払い給え、清め給え」と言いながら。

  1. 正面でまず一礼をする
  2. 向かって左からまわり、正面に戻る
  3. こんどは右からまわり、正面に戻る
  4. もう一度左からまわった後、正面を通り抜け、神前にすすみます
  5. 神前にて参拝(二礼二拍手一礼)します

こちらが「茅の輪くぐり」の参拝作法です。

一見簡単に思えますが、「払い給え、清め給え」と唱えながらの茅の輪くぐりは、とても趣きがあり、気持ちがどんどん落ちついてくるのを感じました。

最後に茅の輪をくぐった先に見えた拝殿は、本当に美しく光り輝いて見えました。

所作って、わずらわしく感じられる時もありますが、やってみるとその価値がよくわかるのかもしれませんね。

進んだ先の拝殿では、人形(ひとがた)が用意されていました。

人形とは、人の形に切った白紙のことです。

この人形に氏名を書き、息を吹きかけ、身をなでて罪やけがれを人形に移して神社に納めると、無病息災をお祈りいただけるのだそうです。

私も、生まれて初めて人形に自分の名前を書かせていただきました。

少しドキドキしましたが、心からの思いを息にこめて、初穂料とともに人形へ願いを託しました。

その後、二礼二拍手一礼で神前に参拝し、今年の「夏越しの大祓い・茅の輪くぐり」は終了しました。

毎年見かけていた大きな輪っかに、こんなにいろんな意味がふくまれていたなんて、今までの私はまったく知りませんでした。

一つ一つは、簡単で難しくはないかもしれませんが、それらにこめられた意味を知ることができて、とても有意義な時間が過ごせました。

夏の日差しが降り注ぐ季節が、今年もやってきましたね。

涼しい場所を選んで過ごすことも大切ですが、いにしえから続く風習と趣きを感じることも、とてもステキなことだと思います。

そんな体験ができる「武州白子熊野神社」まで、どうぞ「夏」を感じにいらっしゃってくださいね。

夏越しの大祓い・茅の輪くぐり (武州白子熊野神社内)
住所:〒351-0101 埼玉県和光市白子2-15-50
アクセス: 東武東上線和光市駅から徒歩20分
      東京メトロ有楽町線和光市駅から徒歩20分
      東京メトロ副都心線和光市駅から徒歩20分
電話番号:048-462-8581
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